はじめに
親族が亡くなり不動産を相続した場合、通常は相続登記を行います。
これは義務ではありません。
しかし、登記を行わずに何世代にもわたって放置していた場合、そのままでは売却ができなかったり相続人が多くなって収拾がつかなくなったりと何かと複雑な問題が発生してしまうことも珍しくありません。
やはりやっておいたほうが安心です。
ところでこの相続登記ですが、わざわざ法務局まで出向かなくても郵送やオンラインで行うことも可能です。
それぞれの方法の特徴について見てみましょう。
オンライン
法務局が運営する登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと」を使って行います。
オンラインによる相続登記は、市販のソフトからでも可能かつ操作が容易であるため司法書士などの専門家にはソフトを使用している人が多いようです。
しかし、ソフトの導入・維持に数万円~数十万円の費用が必要となりますので、一般の方の場合は無料で利用できる「登記ねっと」を選択するのが現実的でしょう。
この方法を用いれば、自宅に居ながらパソコン経由で申請の手続きを行うことができます。
ただし、利用に際しては公的個人認証サービスポータルサイトから電子証明書を取得する必要があることに加え、システム上でもやや複雑な操作をしていかなければなりません(マニュアルも用意されていますが600ページ近くあります)。
したがって、パソコン操作にあまり慣れていない方の場合は、郵送もしくは法務局に直接出向いて手続きを行ったほうが簡単です。
なお、オンラインで申請が可能と言っても、戸籍謄本や印鑑証明などの提出が必要な書類は申請受付の日から2日以内に郵送するかもしくは法務局まで持参しなければなりません。
また、オンラインの場合、登録免許税は申請から2日以内にインターネットバンキングなどを通じて電子納付する必要があります(法務局の窓口や郵送の場合であれば印紙や現金で納めます)。
郵送
申請書(法務局のサイトからダウンロード可能)に必要書類を添付して物件の所在地を管轄する法務局へ郵送します。
その際、普通郵便ではなく必ず書留(簡易書留でも可)もしくはレターパックプラス(ライトは不可)を使って送るようにして下さい。
郵送の場合、書類の内容に誤りが見つかってもすぐには訂正できません。
このとき誤字脱字程度の単純な誤りなら、申請書に捨印(申請者全員の分)があればそれで対応してもらえますので、忘れずに押しておくようにしましょう。
また、原本の返却が可能な添付書類や相続登記完了の書類を郵便で送って(返却して)もらいたい場合は、申請書にその旨を記しておき、返信用の封筒と切手を同封して送るようにします。
なお、余った切手は一緒に返送してもらえますので、多めに入れておくことをお勧めします。
最後に
今回は法務局まで出向くことなく相続登記を済ませる方法としてオンラインと郵送による申請のそれぞれの特徴を紹介しました。
相続登記は物件所在地を管轄する法務局で行わないといけないため、特に遠隔地にある場合などはこのような方法を使うと便利です。
ただし、これらの方法では不明な点があっても自分で調べたり問い合わせたりしなくてはなりませんし、誤りがあった場合もすぐには対応できません。
より確実に間違いなくということを望まれるのなら、やはり窓口で手続きされるか、もしくは手数料を支払って司法書士に依頼されたほうが無難です。