はじめに
近年、不動産投資は人気を博し、2016年には金融機関の不動産融資残高が過去最高額を記録しました。
「不動産投資ブーム」とも言える状況にあったわけです。
その後、融資引締めもあって現時点ではやや落ち着きを見せている不動産投資ですが、ブームの影響で地域によっては賃貸物件の供給過多となっているケースも珍しくありません。
そのような中、注目を集めつつあるのがシンプルに土地のみを貸す「更地賃貸」です。
今回は、そのような更地賃貸において地代の相場を知るための方法について考えてみることにしましょう。
地代の相場を知るための方法
今回は、以下の3つの方法を紹介します。
利回りから算出する方法
「積算法」あるいは「利回り法」と呼ばれている方法で、今回紹介する方法の中では最も正確に地代を算出できると言われています。
このため不動産鑑定士が適切な地代を算出する必要が生じた場合などに、この方法が用いられたりします。
具体的には「土地の価格に期待利回りを掛け、それに必要な経費(主として固定資産税や都市計画税など)を加えた金額」を1年あたりの地代とするわけです。
ちなみに「期待利回り」とは、投資した金額に対して年間あたりに得られると期待される収益の割合(利益率)のことで、一般的には2%程度に設定されるケースが多くなっています。
税金から算出する方法
「公租公課倍率法」と呼ばれており、税金をもとに地代を算出します。
計算方法は非常にシンプルで「土地を保有していることで課せられる税金(固定資産税および都市計画税)の年間額に、ある程度の倍率を掛けた金額」を1年あたりの地代とします。
倍率は一般的には3~5倍となることが多いようです。
類似物件から算出する方法
近辺にあって条件も似通った別の土地の地代を参考に、その土地の地代を算出する方法で「賃貸事例比較法」と呼ばれます。
土地の価格や税金のみから地代を算出すると、場合によっては周辺の地代と大きなギャップが発生してしまうこともあります。
そのような場合にこの方法を併用すれば、より実状に近い地代を設定することができるわけです。
ただし、当然のことながら近隣に類似物件が存在しないケースではこの方法を使うことができません。
上記以外の方法
この他にも、国税庁が公示する路線価から算出する方法や、貸し出した場合にその土地が生み出すであろうと想定される収益から算出する方法などもあります。
最後に
更地賃貸では「維持・管理の手間が掛からない」「その土地に建物を建てるのは借地人であるため建築費や設備費・維持費などが不要」「都市部以外でもそれなりの需要がある」「国や企業の動きによっては急激に価値が上昇するケースもある」といったメリットが存在します。
もちろん「固定資産税が高額」「ある程度の広さがいる」「坪当たりの賃料収入が低い」といったデメリットも存在しますが、物件の建築費用も高騰している今の状況では検討してみる価値があるかもしれません。
更地賃貸の不動産投資を検討するにあたって地代を算出する場合には、ぜひ今回の記事を参考にしてみて下さい。