はじめに
2021年11月、スルガ銀行は決算説明会においてアパートローンのおよそ6割に未回収のリスクがあることを公表しました。
今回の不動産ニュースでは、このテーマについてお伝えします。
アパートローンのおよそ6割に回収不能の可能性
2021年11月26日、スルガ銀行は2022年3月期第2四半期の決算説明会を実施。
その場において不動産投資向け融資、すなわちアパートローンのうち6000億円以上に未回収のリスクがあることが報告されました。
2021年9月末時点における同行のアパートローン貸付残高はおよそ1兆329億円です。
つまり、そのうち6割以上に回収できない可能性があるということが明らかにされたのです。
以前は「地銀のお手本」とまで言われていたスルガ銀行ですが、通称「かぼちゃの馬車事件」により業績も評判も大きく悪化。
2019年3月決算では1000億円近くの巨額赤字を計上しました。
同行は経営再建に着手するものの、その後シェアハウス以外のアパートローンでも不正融資の疑いが発覚。
2021年5月25日には「スルガ銀行不正融資被害弁護団」が結成されるに至っています。
そして、アパートローンのおよそ6割に未回収のリスクがあるという今回の報告です。
スルガ銀行の再建にはかなりの暗雲が立ち込めてきている状況と言っても過言ではないでしょう。
自業自得?
スルガ銀行のアパートローンをめぐっては、事実であれば「詐欺まがい」と言われても仕方のないようなやり口が明らかになっています。
たとえば、レントロールの改ざん。
実際よりも多くの家賃収入があるかのように偽装がされていたというのです。
オーナー側はそれを見て「これならローンも返せる」と判断しローンを組んだのに、現実にはそこまでの収入はなかったわけです。
そうなれば、返済が難しくなるのは当然のことです。
また、預金残高の改ざんが行われたと証言するオーナーもいます。
そういったオーナーは、本来であれば「返済できるかどうか怪しい」と判断されていたはずです。
したがって、ふつうであればアパートローンを借りることもなかったかもしれません。
しかし、銀行側がわざわざ偽装までして、そのような顧客に対して融資を行ったというわけです。
未回収リスクが生じてしまうのは当然のことでしょう。
このような事実を踏まえて考えると、今回の問題はまさしくスルガ銀行の自業自得と言えるかもしれません。
最後に
上記のような被害を訴えるオーナーの多くは、スルガ銀行が主催するセミナーで勧誘を受け、同行でアパートローンを借りるに至っています。
私たちは、心のどこかで「大手企業や有名銀行が人を騙すことなどするわけがない」と思い込んでいるのかもしれません。
しかし、実際にはこのような事件が起こっているのです。
不動産投資家においては、規模の大きさや知名度だけで相手を信用することなく、しっかりとリスクを見極める目を持つことが重要と言えるでしょう。