はじめに
2020年12月15日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行され、約1年が経過しました。
当初は契約の適正化に関する部分のみが対象となっていましたが、2021年6月15日からは「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」に関する部分もスタート。
いよいよ本格的にサブリース新法が運用されることになったわけです。
新法の完全施行により「サブリースは安心できるものになった」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際のところはサブリース新法施行によってもカバーできていない部分があります。
今回の不動産ニュースではこのテーマについてお伝えします。
解約が難しい
新法施行により、サブリースに関して誇大広告を行ったり、事実とは異なる内容を告げたりすることは明確に禁止となりました。
また、意図的に事実を隠すことについても同様に禁止事項となっています。
さらに、重要事項に関しては書面を交付して説明することも義務付けられました。
そして、2021年6月15日からは、登録業者でなければ原則的にサブリースに関する業務を行えなくなっています。
このように、法律が整備されることでさまざまな規制が設けられ、サブリースに関するイメージが変わったというオーナーもいらっしゃるかもしれません。
しかし、この新法で規制されるのは契約に関する部分が主です。
解約に関する規制はありません。
サブリース契約でメインとなる物件の形態はマンションです。
マンションの場合、途中で売却をしその収益を狙う投資家も少なくありません。
いわゆるキャピタルゲインと呼ばれるやり方です。
ところが、サブリース物件の場合、その際の評価額はどうしても低くなってしまいがちです。
「実際の家賃」と「オーナーの手元に入る金額」には差があり、利回りを計算する際には後者の額がもとになってしまうからです。
また、銀行などによる評価も芳しくないことが多いものです。
このため、オーナーとしては売却前にサブリース契約の解除を希望したいところでしょう。
ところが、これが簡単ではありません。
サブリース業者は借地借家法による保護の対象となるため、解約には「正当な事由」が必要となるからです。
そして、契約書に「違約金を払えば途中解約可能」などの文言が書いてあっても、解約の際には「正当な事由」がなければなりません。
そして、この場合「より高く売りたいから」といった理由が認められることはまずありません。
法律的に「解約するに正当」と認められるだけの理由がなければならないのです。
業者側がサブリース契約を勧めてくるのは、それだけ業者側にも旨味があるからです。
そのような旨味をみすみすと手放す業者はまずありません。
したがって、サブリース契約を途中で解約することは簡単ではないのです。
最後に
法律の整備によりサブリース契約の安全性は増したかのように見えるかもしれません。
しかし、実際には上記のような落とし穴も潜んでいます。
サブリース契約の勧誘を受けた際には、このような事実にも留意しておくことが重要と言えるでしょう。