はじめに
これまでの不動産ニュースで取り上げてきたように、現在スルガ銀行のアパートローンにおける不正をめぐり被害者団体が組織され、賠償請求が行われるという騒動が起きています。
近年、副業として不動産投資を始める人が多くなっていますが、そのような方々にとってこの事件は決して他人事ではありません。
今回の不動産ニュースでは、このテーマについて考えてみることにしたいと思います
騒動の概要
今回の騒動で被害者団体に参加しているオーナーの数は300人以上、賠償金として請求している額は約806億円にもなります。
なぜ、このような大きな騒動になってしまったのでしょうか?
それは、「不正」と言われても仕方のないようなことが行われていたと考えられるからです。
もし、オーナー側が多額の借金を背負わなければならなくなってしまった理由が、単なる経営の失敗であるならここまで大問題になることはなかったでしょう。
もちろん、自分の失敗を棚に上げ、他者の責任を追求したがる人はどこにでもいます。
しかし、単なる経営の失敗、すなわち自己責任ということのみによって多額の借金を背負わなければならなかったとしたら、ここまでの大人数による被害者団体はできていなかったはずです。
やはり背後に「不正」と思われても仕方のないことが行われていたから、ここまでの問題となっているわけです。
では、具体的にどのような不正が行われていたのでしょうか?
被害者のオーナーが口をそろえて証言しているのはレントロールの改ざん。
購入対象の物件に関して、実際には満室でないのに満室あるいはそれに近い状態であるという情報が知らされていたり、実際よりも多い家賃収入の見込み額が伝えられていたりしたという事実があったとのことなのです。
ところが、実際にアパートローンを組んで購入してみると、入居率や家賃収入が事前に聞いていた数字よりもはるかに低かったというわけです。
これでは、多額の借金を抱えることになるのは当然と言えるでしょう。
また、アパートローンの審査にしても、その際に貯蓄額などの自己資金が上乗せされていたとする複数の証言もあります。
他人事ではない
今回の事件で、もし勧誘を行っていたのが怪しげな業者であれば、ここまで大人数のオーナーが被害に遭うことはなかったかもしれません。
しかし、今回の件においてセミナーを主催したり、営業活動を行っていたのは主にスルガ銀行です。
ここまで大きな問題になってしまったことの要因としては、多くのオーナーの頭の中に、
「まさか名の知れた銀行が詐欺まがいのことなどするわけがない」
という思い込みがあったことは間違いないでしょう。
今回の事件は、騒動に巻き込まれなかった投資家にとっても他人事ではありません。
スルガ銀行あるいは他の金融機関が同じようなことを二度としない保証はどこにもないからです。
このような被害に巻き込まれないためには、相手が大企業あるいは有名な銀行だからと言って頭ごなしに信用せず、そして、物件の実状をしっかりと見極めることのできる目を養うことが重要と言えるでしょう。