はじめに
コロナウイルスの感染拡大は一向に収まる気配を見せず、その影響で世の中は暗いニュースばかりが目立つ状況となっています。
しかし、不動産投資の世界に関しては比較的明るい情報が多かったのも事実です。
これも、人間が生きていくうえで欠かすことのできない衣食住の「住」の部分に深くかかわっていることの証左なのかもしれません。
そんな不動産投資の世界に、また明るいニュースが飛び込んできました。
ここしばらくの間、減少を続けてきたアパートローンの貸出額が増加に転じた模様です。
今回の不動産ニュースはこの話題についてお伝えします。
増加はおよそ4年ぶり
2021年9月3日付の日本経済新聞朝刊によれば、本年4月~6月の銀行によるアパートローンの新規貸出額が前年同期比で増加に転じた模様です。
これは、2017年の1月~3月期以来、およそ4年ぶりのこととなります。
もともとアパートローンの貸出額は、不動産投資への注目の増加などから2012年ごろから増加傾向にありました。
しかし、その数年後、日銀や金融庁は地方銀行によるアパートローンの貸出額増加を指摘し始めます。
これによりアパートローンの審査は厳格化の兆しを見せるようになります。
そのような状況で起こったのが、スルガ銀行による不適切融資問題の発覚。
各金融機関におけるアパートローンの審査厳格化の流れは一気に加速し、その結果として貸出額は減少を続けていたのです。
それが今回、久しぶりの増加に転じたわけですが、その要因は一つではないでしょう。
おそらく複数の要因が絡み合った結果、増加に転じたことと思われます。
しかし、その要因の一つに「不動産投資への注目の増加」が含まれている可能性は高いと考えられるでしょう。
資産運用への関心が高まる中、コロナ禍においても比較的堅調な動きを見せている不動産投資への注目が増加するのは自然な流れとも言えるからです。
審査が緩くなったわけではない
貸出額が増加に転じたからと言って、アパートローンの審査が緩くなったわけではないでしょう。
日銀や金融庁が目を光らせる中、2018年以前のような甘い審査に戻ったとは考えにくいからです。
したがって、属性や投資計画などに多少の難があってもローンは借りられるだろう、といった安易な考えは禁物です。
ある程度の属性としっかりとした投資計画、そして十分な自己資金といった条件を満たしていることが、アパートローンを利用するための条件であることは変わりないと考えるべきでしょう。
属性をすぐに変えることは難しいかもしれません。
しかし、投資計画や自己資金といったことは工夫次第で何とかできる可能性があるものです。
アパートローンの審査を無事クリアすることにおいて、こういった点に重きを置いて戦略を練り上げていく重要性は、これまでと同様であると言えるでしょう。