はじめに
建物の構造にはどんな種類があるのでしょうか?
木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造・アルミ造・コンクリートブロック造…など、建物には色々な種類の構造があります。
これらは躯体に使われる素材の種類によって分けられています。
そんななかでも、薄くて軽く丈夫な鋼材を使用した軽量鉄骨造のアパートを紹介したいと思います。
軽量鉄骨造のメリットは、なんといってもその優れた「コストパフォーマンス」にあります。
ところで、軽量鉄骨造はオーダーメイドアパート建築には適しているのでしょうか?
軽量鉄骨造アパート建築とは
躯体に同じ素材を使ったとしても、作り方によって建物の性質・構造はまた異なりを見せます。
2階建てのアパートなど、小中規模の建物で用いられることが多い軽量鉄鋼造アパート。
主には「ブレース構造」が選ばれているようです。(木造軸組工法と同様)
軽量鉄骨で柱と梁を繋ぎ合わせ、筋交いでガッチリと補強をします。
同じ素材ですが
鉄骨は2種類あり、鋼材の厚さによって分類されています。
使用される鋼材のそれが6mm以上は重量鉄骨、6mm以下になると軽量鉄骨になるのです。
鉄骨は引っ張り強度は高いのですが、曲げや圧縮の強度は低いので、様々な断面形状に加工され強度を高める工夫がなされています。
そのため木造と比べると強度が高く、しなやかな粘り強さが特徴的です。
メリット
法定耐用年数を軽量鉄骨造と木造で比較して見てみましょう(国税庁データ)。
・軽量鉄骨(厚さ3mm~4mm)27年
・木造 22年
となっています。
地震に対しては少し揺れたとしても、木造より頑丈なため安心できます。
また、虫が出にくく、白アリなどの害虫に苛まれることは少ないです。
それに、工場などで鉄骨を加工し建築現場で組み立てることもできるので工期を短縮できます。
その分人件費にかかるコストも抑えられます。
このように木造と比べて耐久性・耐震性・防虫性に優れているにもかかわらず、建築費用は木造とほぼ横ばいか少し高いくらいなのです。
軽量鉄骨造アパートの弱点
優れている面がある分、劣っている面もある軽量鉄骨造。
しかし、劣っている面も工夫によって安全性・快適さを確保できます。
鉄骨の弱み
鉄骨自体が錆に弱いため、しっかりと防錆処理やメンテナンスをする必要があります。
工事をする際、きちんとそれが行われているか確認をしに行くのもいいかもしれません。
また、鉄骨は熱による影響を大きく受け、耐火性にやや難があります。
摂氏550℃程度で急激に強度が失われ、消火に手間取ると一気に建物が倒壊する危険性を持っています。
そのため「耐火被覆材」という補強材を使用し、耐火性を高めるのが一般的です。
住みやすさと間取り
断熱性は木造に比べて約350倍低いとされています。
そもそも断熱性とは、建物外部と建物内部の空間を断ち、温度差の維持・冷暖房の効率が良いことです。これに関しては外壁を厚くする「外断熱工法」を採用することで、断熱性・気密性だけでなく建物の強度もより改善されます。
また、防音性は木造と同じか少し良いという程度なので、新築する場合は最新の優れた材料などを使って、こうしたデメリット面をなくしていく必要があるでしょう。
ちなみに重量鉄骨造の「ラーメン構造」では、より強度の高い柱と梁を接合し壁面を少なくします。これにより大きな空間を作り出すことができ、間取りの自由さがあります。
これに対して、軽量鉄骨造では柱の本数が増えて筋交いの関係上、間取りの不自由さ感は否めません。
最後に
結論:軽量鉄骨造の建物がオーダーメイドアパートに適しているかどうかは微妙!
オーダーメイドアパート建築では入居者の趣味趣向にそって、自由な間取り・素材・デザインなどなど…それらを叶えられるという強みがあります。
しかし、軽量鉄骨造のアパートでは間取りなどの自由度の点で弱点がありますので、むしろ画一的な、賃料の安いアパートのほうが好ましいかもしれません。