知識がなくても、片手間で、ローリスクで投資が出来るという甘い宣伝文句に誘われてアパート経営を始める人が増えています。その多くは、サブリースというシステムのもとでアパート経営を始めた人たちのようです。
大手の不動産会社がこのシステムを導入しているにも関わらず、アパートオーナーはこのシステムによって痛い思いをしている現状が生じています。サブリースシステムにはどんな問題点が潜んでいるのでしょうか?
・サブリースとは?
サブリースとは、又貸し転貸のことで、不動産賃貸においては、転貸を目的とした一括借上や空室保証のことをサブリースと言います。
簡単に言うと、オーナーはアパートの持ち主というだけで管理を行う必要はなく、また空室か満室かといった物件の状況に左右されることなく物件を貸しているサブリース会社から毎月収入が支払われるというシステムです。
・家賃保証はサブリース会社が得をする!?
システムの大まかな流れだけを知ると、サブリースはアパート経営における最大のリスク空室問題を回避でき、オーナーにとって安定した収入を得られる素晴らしいシステムに感じるかもしれません。
しかし実際には、オーナーではなくサブリース会社が得をするからくりがあります。
■アパート建築費用に保証料が上乗せされている
サブリース会社と契約すると管理だけでなく、アパート建築から全てサブリース会社に任せる場合もあります。
会社によっては、建てるアパートのサイズやデザインすべて決まっており、オーナーはただ建築費用を支払うだけということもあるようです。その場合の建築費用には、純粋に建築にかかった費用だけでなくその保証料を上乗せして請求している会社もあります。
そのため、建築費が相場より高額になってしまうのです。建築費用が高いと投資回収にも時間がかかることになります。それでも、安定した収入が約束されたサブリースなら心配ないのではと思うかもしれません。しかし、そこが更なる問題点でもあります。
■賃料の値下げを要求される
契約時には、30年一括借上契約と記載されているため、多くの人は30年間の家賃保証がされていると思ってしまいます。
ローンの返済計画もでき、返済後の収入も想像つくかもしれません。しかし実際には、1.2年毎に賃料見直しという文言が入っている場合が多く、数年で家賃の値下げを要求されることになるようです。30年保証されているといっても、契約時の一定の金額が保証されているわけではないのです。
数年ごとの見直しによって家賃が下がっていく一方であれば、建築費が高額になったことで、延びたローンの返済が滞ってしまい大きな損害を招いてしまうのです。
・サブリース会社はオーナーの味方か敵か?!
勿論、すべてのサブリース会社に問題があるわけではないかもしれません。サブリース会社の中には、オーナーにとってもメリットとなる仕組みを作って、互いに良いパートナーとなっている会社もあります。
しかし上記であげたような仕組みによって不動産投資から破産を招いているオーナーが増えているのが現実です。社会問題として、テレビで取り上げられるようになっているほどです。ですから仕組みを知らないにも関わらず、安易に契約することは避けましょう。
空室リスクを恐れてサブリース契約を行うオーナーもいますが、自分が望む管理を行ってくれるのか、30年後など長期的なシステムがどうなっているのか、細かく説明書や契約書を見て判断するようにしてください。
・まとめ
アパートオーナーに代わって物件を一括借上して管理を行ってくれるサブリースは入居者管理の煩わしさがないという点でのメリットはありますが、いかにもメリットに感じる家賃保証は、むしろこのシステムの問題点となっています。
仕事や経営を行う際には問題は少なからず生じますし、何も問題が無いことを望むのは現実的ではありません。それどころか、問題なんて何もないという思いでアパート経営を行うことや、起こり得る問題やリスクを知らずに経営を始めようとすることほど危険なことはありません。
それこそが、一番の問題点とも言えます。それでも、問題が起こり得る方法をわざわざ試す必要はありませんし、問題が起こったときの対策を知っていることは問題に対処するうえで重要です。
ですから、アパート経営を行う際には、サブリースシステムなどアパート経営に関係するシステムや、起こり得る問題点をしっかり把握しておくことをおススメします。