不動産投資の3大経費と言われるものに「固定資産税」「借入金利」そして「減価償却費」というものがあります。この減価償却費の仕組みを知っているか知らないかでは、税金対策を含めた不動産の運営に大きく影響します。
・減価償却とは?
アパート経営など不動産投資を行っていくうえで重要な経費のひとつに、「減価償却費」というものがあります。これは、劣化していくものに対して、購入の際にかかった費用を利用期間に応じて毎年計上できる費用のことです。
その年にお金の支出がないのに、毎年損益計算で減価償却費として経費にできるということです。アパートを含め劣化していく建物や設備機器に関しては減価償却の対象となります。しかし、劣化がない土地に関しては減価償却を行うことができません。
・減価償却費と耐用年数の関係
減価償却の計算をするうえで重要な点は、ものによって定められた「耐用年数」です。法律で定められた法定耐用年数に応じて、減価償却費を計算し、毎年計上していくことになります。この耐用年数は木造、RC造など構造によって、また用途によって異なる年数が定められています。例えば、木造の住宅用であれば、耐用年数は22年でRC造は47年です。この耐用年数に応じて償却率も定められています。例えば、1億円で新築を建てた場合の木造とRC造の減価償却費は以下の通りになります。
・RC造:1億円×減価償却率0.022(耐用年数47年)=毎年の減価償却費300万円
・木造:1億円×減価償却率0.046(耐用年数22年)=毎年の減価償却費460万円
中古物件であれば、簡便法という方法で耐用年数を計算して減価償却費を算出します。
・耐用年数に注意する!
上記の計算でいくと、木造のほうが毎年RC造の倍以上の減価償却費を計上できるので一見お得に感じますが、注意しなければいけないのは、耐用年数です。同じ1億円で建てた建物でも木造であれば、22年で減価償却してしまうということになります。それに対してRC造は47年です。減価償却費が多いので償却期間の節税の点では木造はお得ですが、減価償却してしまった物件は建物の価値が低くなります。
そのうえ、所得税を押し上げることになります。また、中古物件を購入する場合であれば、耐用年数の残存年数によっては、金融機関の融資が不可能な場合もあります。各年の減価償却費だけでなく、耐用年数にも注意して、長い期間での運用を計画する必要があります。
そして耐用年数を把握しておくことは、確定申告の減価償却費計上の際だけでなく、リフォームの時期や建替えの時期を把握、想定する点でも役に立つので不動産オーナーにとって重要です。
・まとめ
構造によって耐用年数が決まっているとはいえ、建築コスト、借入期間、減価償却費のバランスを考え減価償却費をうまくコントロール出来れば税金もうまくコントロールすることが出来ます。中古であれば、その物件が耐用年数を何年経過したかによっても、償却率は異なり減価償却費に影響します。
不動産投資を行う際には、構造別の耐用年数を把握していることは勿論ですが、物件を新築したり中古物件を購入する前から減価償却費のことを意識して計画するなら、賢い運用につながります。