はじめに
最近は「終活」という言葉も聞かれるようになりましたが、人間はいつ死ぬかわかりません。
病気で先が長くないことがわかっていたり、ある程度の年齢に達していたりすれば、本人も家族もそれなりの心の準備ができているかもしれません。
しかし「事故や急病で突然・・」などというのもよくあるパターンです。
このような場合に困ってしまうのが「遺産をどうするか?」ということ。
いわゆる相続の手続きですね。
そこで今回は、遺言書ありの場合となしの場合、それぞれのパターン別にその手続きを見ていくことにしましょう。
遺言書ありの場合
この場合、遺言書の種類によってすることは変わってきます。
公正証書遺言
法律の専門家である公証人立会いのもとで作成し、公証役場に保管してあるパターンです。
この場合、遺言書の中で誰がその手続きを進めていくか指名されていれば、その指名された人が内容通りに手続きを実行していきます。
特に誰も指名されていない場合は、行政書士や司法書士、弁護士といった専門家に依頼するか、もしくは遺族の中で代表者を決め、その人が手続きを行います。
秘密証書遺言
内容は確認しませんが、亡くなった本人が作成したことを公証人が確認する遺言書です。
このタイプの遺言書が見つかった場合、まずは家庭裁判所に持っていき内容の確認・調査(検認)をしてもらわなければなりません。
それが終わったら、内容に従って手続きを進めていきます。
もし、中身に法律的な不備があれば、書かれていた内容すべてが無効となります。
自筆遺言
上記2点のような手続きを踏んでいない遺言書、たとえば自分一人で誰にも見せずに書いて、家のどこかに保管してあるような場合です。
この場合でも、まずは家庭裁判所によるチェックが必要で、それが終わった後に手続きを進めます。
不備があれば、無効となる点も先ほどと同じです。
なお、裁判所に持っていく前に中身を開けることは絶対にしてはいけません。
法律で禁止されているばかりでなく、親族間での揉めごとの原因にもなります。
遺言書なしの場合
この場合、どれくらいの遺産があるか負の遺産も含めてまずは調査を行います。
その上で、遺産を相続する権利がある人(法定相続人)同士で話し合いを行い、誰が何をどれくらい受け継ぐかを決めます。
このときに作成する遺産分割協議書には、相続する権利がある人全員の署名および実印による押印が必要となります。
最後に
今回は相続の手続きについて、遺言書ありの場合となしの場合に分け、簡単にその手順を紹介しました。
なお、亡くなられた方が支払うはずであった税金や、相続税などの納付、あるいは相続放棄や限定承認といった手続きには期限が設けられています。
親族が亡くなられた後、すぐに遺産のことで動くのは気が進まないかもしれませんが、上記のような期限に遅れてしまうことのないようできるだけ速やかに手続きを始められることをおすすめします。